昨今、就職情勢も大きく変わり、「求人数が求職者数を上回っている」といったニュースを耳にします。一方で、中小零細企業では人手不足が顕著で”後継者問題”というテーマがメディアでも報道されるようになりました。実はこういった事業承継問題や企業の経営支援に携わっている機関が存在します。それが今回取り上げたい”商工会議所”という組織です。実際に職員として勤める私が、求人の探し方から内定までをどのように勝ち取ったのか。これから商工会議所で働きたいという方に向けて、記録を残します。
【目次】
1.そもそも商工会議所ってどんな場所?~各市町村にあるけど、実は知らない〇〇編~
2.商工会議所の求人の見つけ方と条件~まとめ~
3.採用方法は筆記?面接?~面接で聴かれたことまとめ~
4.商工会議所職員として働いてみて…伝えたいこと。
1.そもそも商工会議所ってどんな場所?~各市町村にあるけど、実は知らない〇〇編~
2.商工会議所の求人の見つけ方と条件~まとめ~
3.採用方法は筆記?面接?~面接で聴かれたことまとめ~
4.商工会議所職員として働いてみて…伝えたいこと。
1.そもそも商工会議所ってどんな場所?~各市町村にあるけど、実は知らない〇〇編~
”商工会議所”という施設を「聴いたことはある」という方も多いのではないでしょうか。実は商工会議所という機関は一般の民間企業のように営利(利益)を目的とした組織ではなく、一定地区の商工業者によって組織される公共経済団体(つまり会員組織)を指します。公共団体であり、地域活性にかかわる事業も行っているため、全国各地に存在していることから「聴いたことあるな…何してるところか分かんないけど」とよく言われます。ただし、商工会議所では貸し会議室や検定試験等を行っており一定の収益が発生しますので、一部では半分民間で、半分は公的な組織と言われることも多いです。
よく商工会と間違えられますが、他サイトでこの違いを記していることが多いため、ここでは採用に関する内容をまとめるため割愛いたします。商工会議所では主に以下の業務・役割を担っています。
●経営相談業務(経営指導員に限る)
実は商工会議所で働くにあたって、日商簿記検定2級以上の資格取得は必須です。もちろん部署や地域によって不要である場合もありますが、大きな業務の一つに”経営支援”があり、基本的には上記の有資格者が事業者の支援に携わります。つまり商工会議所では”簿記2級以上の知識がある=財務諸表の分析、経営改善提案がある程度できる”というお墨付きを指します。また経営支援以外にも融資(マル経融資)や補助金申請等に携わるため、数字の動きや企業の弱みを即時に判断できる分析力も養っておく必要があるかもしれません。
●福利厚生支援(特に労働保険等)
企業は従業員の万が一のけがやリスクに備えて、保険に加入しています。この保険を”商工会議所の会員であれば、優遇してお安く加入できますよ”と制度化されたものが存在します。事務的ですがこの対応窓口を担うのも商工会議所の仕事です。また従業員の退職金などに備えた”特定退職金制度”というのも、商工会議所ならではの制度です。商工会議所はあくまで窓口・事務手続きの機能を担います。
●地域経済への貢献
よく地域のお祭りやイベントのポスターの下段に「共催」「主催」といった記載があるかと思います。多くの場合、”その地域の商工会議所”の名前が入っています。イベントの告知はもちろん商工会議所が主体となって企画・運営する事業もありますし、市役所と共催で運営している事業もたくさんあります。
2.商工会議所の求人の見つけ方と条件~まとめ~
先ほど記載した内容と重複しますが、以下は商工会議所で募集するにあたって必要となる条件です。※参考までに
●条件
・日商簿記検定2級以上
・PCスキル(MOS等、基本的な知識・操作ができれば問題ありません)
・経営者と対峙することが多いため、対話力
・車の免許
●あると加点評価の条件
・中小企業診断士、社会保険労務士などの国家資格
・もと銀行員で決算書が読める等
年齢制限は30代までであれば、優遇されます。大きな商工会議所(東京・大阪・京都等)でない限り、基本的に欠員が出ればその分だけを補充採用する組織です。どの商工会議所も高齢化が進み、私の勤める商工会議所ではガラケー職員がほとんど…。今、若い方はPCスキルはもちろん、SNSや販促等にも知識が豊富な方が多いため、年齢だけで優遇されるかもしれませんね。
●求人の見つけ方
基本的にハローワークでしか、見つけられません。というのも商工会議所とハローワークは元々地域の企業とかかわることが多い故に密な関係にあり、民間の大手求人媒体に頼らず、あえてハローワークを介して欠員を補充しています。ちなみに関東地区ではリクナビに掲載している商工会議所もあります。大きな商工会議所(東京・大阪・京都)も大手の求人媒体を使います。ハローワークで情報を拾えない場合、HPから情報を探ってみましょう。
3.採用方法は筆記?面接?~面接で聴かれたことまとめ~
私は転職組で、24歳の時に商工会議所に募集しました。(そこそこ大きな商工会議所です)この時、ハローワークを通じて2つの商工会議所を同時募集しました。その時の試験方法・面接内容をまとめました。
●試験方法
【観光地にあるA商工会議所】(規模:中の上)
①書類選考:日商簿記検定2級が生きました。200人程(転職組)希望者がいましたが、生き残りは全員有資格者でした。
②筆記試験:簿記の知識が問われます。日商簿記3級レベルが20問程出題されました。またその地域の施設や歴史等に関する問題も10問程ありました。
③面接:なぜ前職を辞めたのか、なぜ商工会議所で働きたいのかを聞かれました。ほとんど雑談でしたが、インバウンドに力を入れていた地域であったため、「どうすればこの地域の経済が潤うか」訪日客の動きを絡めて伝えるのが難しかったです。
結果:不採用(ここは手ごわかったです)
【人口も多く、住みたい街ランキングで選ばれるB商工会議所】(規模:中の上)
①筆記試験:小論文でした。(文字数制限なし)「商工会議所という組織が、この地域に対してできる取り組みや、あなたが考える”経済活性”につながる企画を考えなさい」というテーマでした。制限時間60分で、これを書き切るのは大変でしたが、元々この手は対策していたので、定住人口を増やすという観点や観光事業としてできる施策提案を記載しました。
②面接:ほとんど雑談でした。「中小企業診断士の勉強をしている」というアピールが加点だったように思います。また「経営者との付き合いが多くなるが、お酒は大丈夫か」「運転はできるか」など、手こずる質問はありませんでした。
結果:採用
4.商工会議所職員として働いてみて…伝えたいこと。
前職が大手広告会社の営業マンだったこともあり、商工会議所の業務は良い意味でアナログで時間の流れがゆっくりです。9:00~17:15(土日休み)の勤務、職員の7割が定時に上がり、ほとんどストレスを抱えることなく過ごすことができます。家族との時間や仕事以外での自己投資を考えると、かなり恵まれた環境にあることは自信をもって断言できます。ギャップは”上がポンコツなので、組織が変化に疎いこと”です。なので入社しても上の判断がいつまで経っても返ってこなかったり、「前がこうだったから、同じようにやってね」という、慣習的な押し付けが多いです。ただ職員の皆さんは優しく、自分の時間をたっぷり確保できるため、思いっきり勉強や投資に充てられている今が充実しています。入社をご検討されている方へ、心から応援しております。
この記事へのコメント
ブロガーたかし
もちろん各地域の商工会議所によって色がございますので、一概に言えかねますが。
>さん
>
>商工会議所に転職を考えているのですが、労働環境は恵まれているのでしょうか?途中でやめる人も少ないのでしょうか?