◆㈱ぐるなびの決算書から分かる!?飲食店の景況とこれから◆

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東京は有楽町に本社を構える㈱ぐるなび(code2440)。設立30年を迎える同社の決算発表が、5月11日付で公表されました。この決算書からみる「新型コロナウイルスの影響」と飲食店のこれからについて、分析・解説ができればと思います。






1.㈱ぐるなび:2020年3月期決算説明会資料より

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【損益計算書】
このP/Lから、売上向上<利益を残す経営にシフトしたことが読み取れます。企業経営において、特に外的要因による景況感の悪化や規模縮小が余儀なくされる場合、「投資による売上向上」or「経費削減による利益を残す経営」の選択に迫られます。同社の場合、営業担当によるPUSH型の新規提案機会を減らしたか、もしくは支援領域に注力することで減解約を削減したかの選択をとったことが推測できます。




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【貸借対照表】
素晴らしい数字です、健全な企業経営をしていることが分かります。具体的には各勘定科目の内訳を見なければ判断できませんが、流動負債をリカバーできるだけの現預金があり、かつ圧倒的な自己資本を持っているために、相当な不況や問題が起こらない限りは、自社でカバーできる資金力があると判断できます。キャッシュフローも、比較的万全な状況にあると言えます。

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【売上内訳について】
売上高は2017年の369億円をピークに、毎期減少しています。前期比較で27億円の売上高が減少しているため、数字・加盟店舗数ベースでみると状況は芳しくないでしょう。「ストック型サービス」つまり年間契約での掲載受注が総売上高の91.8%を占める同社ですから、加盟店舗数が減少すれば比例して売上高も減少します。




リスクヘッジを図る手段として、「スポット型サービス」の更なる拡充(単発で受注獲得ができるような魅力的な商品の開発)や公的機関との連携等による”景況変動があっても担保できるだけの固い売上軸”を作る必要があるでしょう。またGoogleありきの検索媒体からの脱却を図り、更なる利便性・簡易操作性を追求した検索サイトとしての立場を構築し、ユーザー数の増加を図ることも重要です。

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【ネット予約件数について】
実は決算説明資料では「ネット予約件数の増加」を公表していますが、ユーザーの実態は「たまたま利用した予約サイトが”ぐるなび”だった」が大半を占めています。これは民間の調査会社や商工会議所・商工会等からも具体的なヒアリング調査のもと明らかになっている事実です。経営リスクとして考えられるのは「魅力的な特典付の予約サイト」が競合で派生してきた場合、飲食店はそのサイトのみとの契約で完結してしまうため、対抗手段がないという問題が挙げられます。




インターネット業界のスピードは速く、明日にも新しいサービスや付加価値の創出、ビジネスが登場する市場ですので、掲載サイトとしての老舗を謳い続けるだけでなく「常に新しいサービス・飲食店目線の商品」を開発し、競合優位性を保つ必要があります。




その観点でみると、すでに「低価格戦略(ペネトレーションプライス)」での地域密着広告サイトやSNSの波及もまた競合にあり、つねに目を向けておかなければなりません。

2.飲食店に必要なこれからの広告サービス・経営支援領域とは


このコロナウイルス感染症の影響で、いま飲食店が求めているものは以下の内容です。
①資金繰り面
融資、補助金・助成金等によるキャッシュフロー改善
➢実は飲食店の決算書は酷いもので、今回のような休業で経営が危ぶまれる店舗は非常に多いのが実態です。利益を残す訳でもなく、貸付金・短期借入は膨らむばかり…。国の制度で「計画書を作成すれば、補助金を受けられる」ものもあるため、作成代行等の領域に手を伸ばすのも良いかもしれませんね。
②新しい販路拡大事業・展開
デリバリー事業や店舗貸による収益軸の構築
➢今回の休業要請を受けて、デリバリー事業を始める飲食店が急増しています。二束三文の事業ではありますが、規模の経済の考え方で、仕入れは増えれば単価あたりコストは低くなり、利益を残すことができます。いままさに、新しい収益軸を作る転換期にあると言えるでしょう。
③固定費のかからない広告サービス
成果報酬型のサービスや手数料モデル
➢飲食店経営でよく声があがるのは「固定費」の過多。広告宣伝費もそのうちの一つです。できるだけ変動費で少額のfeeであれば…という声をよく耳にします。これからは年間固定契約<都度払いに需要が出るのではと推測しています。
④小さな力で広範囲に訴求できる投資
YouTubeをはじめとしたSNS等
➢これは言うまでもなく、昨今では芸能人ですら登録・配信を始めるほど需要が急増しています。飲食店専用のモデルが登場すると予想されます。手間に対しての拡大は、爆発的ですからね。




また広告会社によくあるジレンマに、”主要都市圏でしか掲載・取引の進んでいない”経営実態があります。掲載系の広告事業は「1+1=2」の営業ではなく、「2×2=4、8、16…」の積算で掲載・受注拡大を図ることができる事業です。その分莫大な投資が必要だったり、オンライン化の充実を図る必要はありますが、オフラインでのアクション(営業)には限界があると言えるでしょう。



3.現状の飲食店の影響について

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同社の数日間における調査結果が、決算説明資料にて公開されていました。「売上高50%以上の減少」が53.9%を占める驚異の数字…。もちろん、飲食店ばかりに目を向けられていますが、業界全体を見て影響を受けている業種は複数あります。経費見直し(従業員の削減、役員報酬の削減等)はもちろん、新たな展開を検討する休業期間でもあるかと思います。この差が、これからの飲食店経営に大きな差を生むことになるでしょう。




4.外食産業の形態変化について

「中食」という言葉が、最近ではよく耳にするようになりました。実情は、以下のURLをご参照ください。

【中食需要の推移:9年連続の実態(市場規模10兆円)】

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テイクアウト、デリバリー事業をスタートされる飲食店がいままさに急増しています。店舗でのオフラインでの楽しみ方から、また新しいサービス展開が始まるのではないでしょうか。




5.まとめ

ぐるなびの決算書から、いかに飲食店がダメージを受けているか。またこれに関わる関連事業者も売上に大きな影響を受けていることは間違いありません。まさに転換期の時期。新しいサービスや営業方法が確立されるのではないでしょうか。また新たな情報が入り次第、こちらに更新いたします。



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