◆今更ですが、「損益通算ってなんですか!?」◆

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黒字だったら所得税がかかるし、赤字だったら個人事業主の場合は税金が発生しない…っと。あれ?「所得って、複数の事業や収入源がある場合、黒字だけが発生するだけじゃなくて”赤字”も発生すると思うんだけれども…。これって、黒字相殺できるのか?






1.「損益通算」とは:解説編

まずは冒頭のご質問に対しての回答ですが、不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得の損失は、他の所得の利益と損益通算することが可能です。ただし、これらの所得に係る損失でも規制が設けられている部分がありますので、ご注意ください。

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例えば普段は会社員として給与所得を得ている場合において、不動産賃貸等を行っていて赤字が出た際は「給与所得金額-赤字金額」という形で総所得を算出することができるという考え方です。



2.譲渡所得に係る損益通算の規制について

ただしなんでもかんでも損益通算できるかと言えば、決してそうではありません。例えば以下にあげる①~⑤の譲渡損失は、原則他の所得の利益と損益通算することができません。

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①生活用の動産等、非課税所得に係る譲渡損失

②個人間で時価の1/2未満の対価で譲渡した場合の損失

③別荘や宝石等、生活に通常必須(必要)ではない資産の譲渡損失

④申告分離課税となる株式等の譲渡損失

⑤土地建物の譲渡損失
※この損失は例外的に、居住用財産の買い替え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除に該当する場合のみ、他の所得の利益との損益通算及び翌年以後3年間の繰越控除が認められます。




3.不動産所得が赤字のときの損益通算について

不動産所得の計算上生じた赤字のうち、土地の取得にかかる借入金の利子相当額は他の所得との損益通算対象額から除外されます。
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損益通算対象額
不動産所得の損失額>土地取得の利子の額
不動産所得の損失額から土地取得の利子の額を控除した金額

不動産所得の損失額≦土地取得の利子の額
0円
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4.ケース事例をご紹介!

不動産に関する損益通算に関してまとめると、以下のようになります。
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また上記とは別の事例でみると…。
Q:賃貸アパートを建物・土地一括で購入しました。この場合において、土地利子が6,000万円、それ以外の損益が1,000万円あります。差し引き損益は▲500万円です。損益通算対象額・総所得はいくらでしょうか?

A:以下の通りです。
購入者購入前の所得購入後の所得
給与所得者等の場合給与所得:3,000万円
給与所得:3,000万円
不動産所得:0円
合計所得:3,000万円
不動産所得者の場合
不動産所得:3,000万円
※上記新規アパート以外の所得
不動産所得:2,500万円
※同一所得なので、土地利子を含めて計算が可能となります。損益通算可能です。




5.ポイントまとめ

不動産取得等に関しては所得対策の観点等において、特例や規制等があるため事前に確認をする必要があります。また上記に示しました通り、事業所得上の土地購入(診療所や外来駐車場等)の借入金利子は事業所得の経費としてはこの規定にはかかりません。
損益通算の規制についての影響を鑑みて、紹介・あっせん等を行うようにしましょう。
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