友人が家を買った。すごいと思った。でも、ちょっと怖いとも思った。

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先日、久しぶりに高校時代の友人2人と焼肉を食べた。

近況報告をしながらカルビをつつき、ビールを飲んで、「最近どう?」なんて話をしていたら、2人とも同じことを言った。


「家、買ったわ。戸建て。」


2人とも。


思わず「おお…!」と声に出た。


すごい。本当にすごいと思った。


でも同時に、心のどこかで、こう思っている自分もいた。

「大丈夫か…?」






30代は「家を買う年代」なのか


気づけば周りがどんどん家を買っている。

結婚して、子供が生まれて、「そろそろ手狭になってきたな」「賃貸ももったいないよな」「子供に部屋を持たせてあげたいな」……そういう流れで、住宅購入を検討し始める人が多い。


実際、国土交通省の調査でも、住宅を取得する人の年齢層は30代がもっとも多い。


30代は「家を買う年代」と言っても、あながち間違いではない。


友人2人もそのパターンだ。結婚して、子供ができて、戸建てを購入した。

そしてローンの話を聞いて、私はまた思った。

ペアローンか……」



ペアローンって、何がすごくて何が怖いのか


ペアローンとは、夫婦2人がそれぞれ住宅ローンを組む方法だ。


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↑参照:SUUMOサイトより抜粋


たとえば、4,000万円の家を買うとき、夫が2,000万円・妻が2,000万円のローンをそれぞれ単独で組む。


2人の収入を合算することで、1人では届かない金額の家が手に入る。


夢がある。


数百万円の頭金を払えば、何千万円もする一軒家が手に入る。

「家族のために、いい家を買ってあげたい」という気持ちは、すごくわかる。 そこに反論するつもりは、まったくない。


でも、ペアローンには、知っておくべきリスクがある。





①離婚したとき、ローンだけが残る

2人で組んだローンは、2人が返し続けることが前提だ。 もし離婚となった場合、「じゃあどっちが払うの?」という問題が発生する。 家を売ろうにも、ローン残高が売却額を上回っていたら(いわゆる「オーバーローン」)、家を売っても借金が残る。ここが本当に怖い。


②どちらかが働けなくなったとき

病気・事故・育休・失業……人生には何が起きるかわからない。 夫婦どちらかが突然収入を失ったとき、2人分のローンを1人で抱えることになる。 「団体信用生命保険があるから大丈夫」と思うかもしれないが、団信は死亡・高度障害が対象で、病気による長期休職などはカバーされないケースも多い。


③「背伸び」した金額で買ってしまう

ペアローンが使えると、借入可能額が大きく膨らむ。 「借りられる金額」と「返せる金額」は、まったくの別物だ。 でも人間、「借りられるなら借りよう」と思ってしまう生き物でもある(自分もそうなると思う、正直)。


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MUFJ記事より抜粋



現場で見てきたこと


私は仕事柄、中小企業の経営者や個人事業主の資金繰り・融資のサポートをすることがある。

その中で、相談者の資産状況や収支を拝見する機会がある。

全員がそうとは言わないが…率直に言うと、


「余裕があるご家庭は、想像以上に少ない...。」


という印象を持っている。

もちろん、これは私が接する特定の層の話であり、偏りがある可能性も十分ある。


でも、「家を持ち、ローンを抱え、実質一馬力で返済を進める」という状況は、想像以上にタイトなことが多い。


そして、商売人(個人事業主・中小企業経営者)が住宅ローンを組む場合は、さらにハードルが高くなる。





会社員は毎月決まった給料があるので、銀行からの審査が通りやすい。 でも自営業者は、収入が不安定とみなされ、審査が厳しくなる。

「家を買いたいなら、会社員時代に」、あるいは「収入が安定してから」というのは、現場で感じるリアルな話だ。


ペアローンは事業資金の借入と似ていて、身の丈以上に借入を起こすと、結局返済がしんどくなる傾向があるのではと懐疑的にみている。



空き家は増えている。家を手放す人もいる。


いま、私の住む地域でも空き家が増えている。

全国的に見ても、空き家問題は深刻で、一部の自治体では「空き家税(空き家への課税強化)」の導入が始まっている。

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↑資産価値の無い不動産は、ますます整理されるか...。


そして、住宅ローンの返済に苦しんで家を手放す夫婦もいるらしい。


高齢者だけの話ではない。30代・40代の若い夫婦でも起きている話だ。

「家を買った=ゴール」ではなく、「家を買った=30年間の返済がスタートした」という現実がある。


これは脅しでも批判でもなく、ただの事実として、頭に置いておいてほしい。


私は「狭くてもいい派」です


完全に個人的な話をする。

私は今のところ、家は「狭くていい」と思っている。

理由はシンプルで、掃除がラクだから


広い家はそれだけ掃除の手間がかかる。移動距離も増える。 「家の中で歩く距離が増えること」を、私はわりと嫌だと思っている(ズボラ)。

ただ、子供が大きくなってきたら嫌がるかもしれない。 「部屋がほしい!」「狭い!」とか言われるやつだ。


……まあ、そうなったときに考えよう(完全に先送り)。


でも、もし買うとしたら、「駅近」は絶対条件にしようと思っている。


土地の価値が落ちにくいし、いざとなれば売れる。 「資産としての家」を考えるなら、立地は最優先だと思う。






結局、何が言いたいのか


友人が家を買ったことを、批判したいわけじゃない。 ペアローンが悪だと言いたいわけでもない。

人生の選択は個人の自由だし、「家族のためにいい家を」という想いは、本当に尊いと思う。


ただ、「これからの時代、大きい買い物は慎重に」 というのが、現場を少し見てきた私の正直な気持ちだ。

金利は上がってきている。物価も上がっている。人口は減っている。空き家は増えている。


そういう時代に、「借りられる限界まで借りる」というのは、なかなかにリスキーだと思う。

「身の丈に合った買い物」って、地味だけど、強い。

焼肉を食べながら、そんなことを考えていた30代の春でした。